営業アシスタント for 中小企業 開発ストーリー
「以前連絡した会社に、そろそろもう一度連絡しようと思っていた」
「見積もりを送った後、そのままになっていた」
「名刺交換をしたけれど、忙しくて連絡できなかった」
中小企業の営業現場では、このようなことが珍しくありません。
決して営業する気がないわけではありません。
むしろ、営業の重要性は十分に分かっています。
それでも営業が続かないのは、社長や担当者が営業以外にも多くの仕事を抱えているからです。
今回は、こうした中小企業の営業課題を解決するために企画した「営業アシスタント for 中小企業」の開発背景と、このツールで実現したいことをご紹介します。
中小企業では、社長自身が営業担当者
小規模な会社では、社長が営業を兼務していることがよくあります。
社長の仕事は営業だけではありません。
- 現場の確認
- 見積書の作成
- 取引先への対応
- 資金繰り
- 採用
- 社員からの相談
- 急なトラブルへの対応
毎日さまざまな仕事に追われるなかで、新規営業を続けなければなりません。
営業先を見つけ、相手の会社について調べ、メールを作成し、送信する。
さらに、返信の有無を確認して、必要があれば再度連絡する。
この一連の作業を、日々の業務と並行して続けるのは簡単ではありません。
その結果、営業が後回しになり、思い出したときだけ連絡する状態になってしまいます。
営業先は管理できても、その後の行動が続かない
営業先をExcelやスプレッドシートで管理している会社は多いと思います。
会社名、担当者名、電話番号、メールアドレスなどを一覧にしておけば、情報を整理することはできます。
しかし、営業リストを作っただけでは、営業活動は続きません。
大切なのは、情報を保存することではなく、次に何をするのかが分かることです。
例えば、営業メールを送った後には、次のような管理が必要になります。
- いつ初回メールを送ったのか
- 相手から返信があったのか
- 次はいつ連絡するのか
- 現在どのような状態なのか
- 前回どのような話をしたのか
これらを毎回手作業で確認していると、次第に管理が負担になります。
そして忙しくなると、フォローすべき営業先が一覧の中に埋もれてしまいます。
営業に必要なのは、高機能なシステムだけではない
営業管理には、さまざまな高機能システムがあります。
顧客情報の管理、営業活動の記録、売上予測、案件分析など、多くの機能を備えたサービスもあります。
一方で、従業員が1人から20人程度の会社にとっては、機能が多すぎることもあります。
導入時の設定が難しい。
毎月の利用料が負担になる。
入力項目が多く、結局使わなくなる。
このようなことが起きると、せっかく導入したシステムも定着しません。
小規模な会社に必要なのは、必ずしも大規模な営業管理システムではありません。
まず必要なのは、次のような基本的な行動を無理なく続けられる仕組みです。
- 営業先を整理する
- 営業メールを作成する
- 送信した日を記録する
- 返信を確認する
- 次回の連絡日を忘れない
そこで、普段から使い慣れているGoogleスプレッドシートとGmailを利用した、シンプルな営業支援ツールを考えました。
それが「営業アシスタント for 中小企業」です。
営業を自動化するのではなく、営業を忘れない
このツールのコンセプトは、営業を完全に自動化することではありません。
営業メールを大量に自動送信することでも、AIに営業活動のすべてを任せることでもありません。
目指しているのは、
「営業を忘れない。営業が苦手でも継続できる仕組みをつくる」
ということです。
営業では、相手の状況を考えながら連絡することが大切です。
そのため、メールの送信自体は人が内容を確認したうえで行います。
ツールが担当するのは、営業する人を支える部分です。
営業先の情報を整理し、メールの下書きを作り、返信の有無を確認し、フォローが必要な会社を分かりやすくします。
人に代わって営業するのではなく、人が営業を続けやすい環境をつくります。
最初のバージョンは、あえてシンプルに
「営業アシスタント for 中小企業」の最初のバージョンでは、GoogleスプレッドシートとApps Scriptを使用します。
管理するシートは、大きく分けて二つです。
企業リスト
営業したい会社の情報を登録します。
- 会社名
- 担当者
- メールアドレス
- URL
- 業種
- 提案内容
- 挨拶タイプ
- 接点メモ
営業管理
実際の営業状況を記録します。
- 会社名
- 担当者
- メールアドレス
- 初回送信日
- 返信の有無
- 次回連絡日
- 状態
- メモ
企業情報と営業状況を分けることで、「どの会社に営業するのか」と「現在どこまで進んでいるのか」を確認しやすくします。
選択した会社のGmail下書きを作成
最初のバージョンの中心機能は、Gmailの下書き作成です。
スプレッドシートの企業リストから営業したい会社を選ぶと、その会社の情報をもとにメールの下書きを作成します。
挨拶文は、相手との接点に応じて変更します。
例えば、ホームページを見て連絡する場合は、
「貴社ホームページを拝見し、ご連絡いたしました。」
という文章を使用します。
名刺交換をした相手であれば、名刺交換をした場所や機会を含めた文章にします。
紹介を受けた場合は、紹介者の名前を入れます。
毎回ゼロから文章を作る必要がなくなるため、営業メール作成の負担を減らせます。
ただし、メールは自動送信しません。
作成された下書きを人が確認し、必要に応じて修正してから送信します。
手間を減らしながらも、相手に合わせた確認は人が行う設計です。
7日間返信がなければ、フォロー対象として表示
営業メールは、一度送れば必ず返信が来るわけではありません。
相手が忙しくて確認できなかったり、後で返信しようと思ったまま忘れてしまったりすることもあります。
だからこそ、適切なタイミングでのフォローが必要です。
最初のバージョンでは、初回送信から7日が経過しても返信がない場合、営業管理シートの状態を「リマインド必要」に変更します。
これにより、一覧を見れば、どの会社に再度連絡すべきか分かります。
担当者が日付を覚えておく必要はありません。
営業先が10社、20社、50社と増えても、フォロー対象を見つけやすくなります。
Gmailの返信も確認する
営業メールを送った後は、返信の確認も必要です。
しかし、日々多くのメールを受信していると、営業先からの返信を見落とす可能性があります。
そこでGmailを検索し、営業先からの返信を検出した場合は、営業管理シートを更新する仕組みを取り入れます。
返信が確認できた会社は、
- 返信:あり
- 状態:返信あり
と表示します。
これにより、返信があった見込み客を一覧から確認できるようになります。
営業で重要なのは、メールを送った件数だけではありません。
反応してくれた相手に、きちんと次の対応をすることです。
そのための確認作業も、できるだけ簡単にします。
今後はフォローメールやAI連携へ
最初からすべての機能を搭載するのではなく、実際に使いながら段階的に改善していく予定です。
次のバージョンでは、「リマインド必要」となった会社に対するフォローメールの下書き作成を予定しています。
さらに、その後はAIとの連携も検討しています。
例えば、会社のホームページをAIが分析し、営業提案のきっかけを見つけます。
- 採用ページがない
- 若手社員の紹介がない
- SNSが十分に活用されていない
- サービスの魅力が伝わりにくい
- 問い合わせへの導線が分かりにくい
こうした情報をもとに、会社ごとに提案内容や営業文を調整できれば、より具体的な営業が可能になります。
ただし、AIを使う場合も、完全自動化が目的ではありません。
相手を理解し、より良い提案を考えるための補助として活用します。
ツールを販売するだけでは終わらない
ビオス北海道が目指しているのは、単なるシステム販売ではありません。
ツールを導入しても、営業活動が続かなければ意味がありません。
会社によって、営業方法も顧客管理の方法も異なります。
その会社に合った管理項目を考え、無理なく続けられる運用方法を一緒につくる必要があります。
「営業アシスタント for 中小企業」を入口として、
- AI活用支援
- 営業効率化支援
- 採用支援
など、中小企業が抱える課題を継続的に支援したいと考えています。
目指すのは、システムを納品する会社ではなく、営業が苦手な中小企業の右腕です。
営業は、才能だけで決まるものではない
営業が続かないと、「自分は営業が苦手だから」と考えてしまうことがあります。
しかし、本当の原因は、営業の才能ではなく、営業を続ける仕組みがないことかもしれません。
誰に連絡したのか。
いつ連絡したのか。
返信はあったのか。
次はいつ連絡するのか。
これらが分かるだけでも、営業活動は大きく変わります。
「営業アシスタント for 中小企業」は、派手な自動化を目指すツールではありません。
営業先を忘れない。
フォローを忘れない。
返信への対応を忘れない。
そんな基本的な行動を支え、忙しい中小企業でも営業を続けられる仕組みをつくるツールです。
営業を一部の得意な人だけの仕事にせず、誰でも無理なく続けられる仕事にする。
それが、このツールを開発する理由です。
次回予告
次回は、Googleスプレッドシートを使って無理なく営業管理を始める方法をご紹介します。
高額な営業管理システムを導入する前に、まずどのような項目を管理すればよいのか。
小規模な会社でも今日から始められる、シンプルな営業管理の考え方を解説します。